スウェーデンのコロナ対策が結果的に良かった理由

集団免疫をつけることこそが最大のコロナ対策である。

と欧米諸国がしてきたロックダウン(首都封鎖)を行わず、国民の移動を制限せず、なおかつマスク着用も義務づけず、すべてを任せてきたことで、スウェーデンはさらに注目が集まりましたね。

なにもしないことが対策であるという点ばかり注目され、無謀な国などという印象も各国に与えてしまいました。

批判を浴びながらも、日がたつにつれて、この無謀なスウェーデンの対策が評価されつつあるのです。

この間いったい何があったのか、詳しくかつ簡単に説明していきますね!

スウェーデンのコロナ対策が結果的に良かった理由

1.ロックダウンをしないスウェーデンに世界中から批判殺到

スウェーデンにおける独自の新型コロナウイルス政策は、世界から注目されています。
欧州の多くの国でロックダウン(封鎖)を行ったにもかかわらず、スウェーデンがロックダウンをしなかったことに対し、海外から発信されるコメントの多くは批判的なものでした。

「スウェーデンはいわゆる『集団免疫戦略』を採用している」とか、「経済を最優先した結果ロックダウンをせず死者が増えた」、といった報道が多く目立ちました。

しかし、これらはスウェーデンのコロナ対策の実態や背景を理解しているものとは言い難いのです。

いったいなぜなのでしょう?

2.ロックダウンしなかったことが死者が増えた原因ではない!

スウェーデンの新型コロナによる死者数は他の欧州諸国と比較しても高い水準にあり、これが第一に批判の対象となったのです。
欧州各国との比較ではベルギー、英国、スペイン、イタリアなどに次ぐレベルである。

だが、死者の内訳をみてみると、死者の9割が70歳以上の高齢者で、その約半分が介護施設に入居しており、その中でクラスターが発生したという背景があったのでした。
クラスターの発生した介護施設は重度の要介護の高齢者が入居していたところがほとんどでした。
そして、その当時感染防止対策が不十分な環境下にあったパート勤務の介護者などが施設での介護を行っていたことが大きな原因となったのです。

このことから、ロックダウンしなかったことが死者が増えた原因とは言えないということがわかってきたのです。

3.スウェーデンがロックダウンを行わなかったわけ

スウェーデンがロックダウンを行わなかったのは、憲法で国民の移動を制限してはいけないという条例があったためなのです。

すなわち政府がそもそも国民の移動を制限することは、憲法上できなかったのです。
個人の移動の自由に関しては、スウェーデン憲法第2章「基本的自由及び権利」第8条 において、「すべての人は公的機関による自由の剥奪から保護される。その他、スウェーデン市民である者には国内を移動し出国する自由も保障される」と明記されている。

すなわち、平時の条件下で、国内および国境を越えたスウェーデン国民の完全な移動の自由を保障している。しかし非常時における国民の移動制限が憲法の条文に入っていないのは、スウェーデンが1814年以降戦争を行っておらず、長く非常事態がなかったためとの指摘もあったのです。

4.実際に行われているスウェーデンのコロナ対策とは?

スウェーデンでは、ロックダウンこそ行わないが、もちろん国民が順守すべき対策も取られているのです。

1.社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保

2.50人以上の規模の集会や高齢者施設への訪問の禁止など

日本では緊急事態宣言が発せられましたが、ロックダウンという強制的なものはありませんでした。その点はスウェーデンと同じく国民の自主的な判断や行動に任せるという点が類似しています。

ロックダウンを行わなかったのは「集団免疫戦略」を採用したからだとの海外からの見方を、スウェーデン政府は閣僚のインタビューなどで明確に否定しています。

それにもかかわらず、その否定しているという点はさほど報道されていないので、いまだ、スウェーデンといえば集団免疫を付けた国と思われているのが悲しい現状です。

5.スウェーデンは専門家の意見を尊重する国であった

スウェーデンでは「公衆衛生庁」と呼ばれる公的機関が新型コロナ対応に当たっています。
この組織は、独立性が保証されている専門家集団です。

憲法ではこのような公的機関は「中央政府の外」に独立して設置されており、「政府や議会は公的機関の独立性を尊重し、介入してはならない」とされているのです。この規定を政府や政治家が忠実に守っており、公衆衛生庁に勤務する専門家が推薦する政策がスウェーデンではそのまま実行されているというわけなのです。

スウェーデンの専門家は、「新型コロナが長期間にわたるものであること」、そして、「収束するまでの期間、国民が耐えうる政策を取るべき」だということ、「感染症は長期的に続くものであり、一時的にロックダウンをしても感染再拡大は防げないし、副作用もある」ということを、繰り返し国民に説明してきたのです。

こうした専門家の考え方が尊重され、そのまま政策として実行されるのがスウェーデンという国なのです。

6.スウェーデンコロナ対策の結果

コロナウィルスの感染はいまだ続いていますが、致死率や感染者は緩やかに減少している傾向にあります。

そして、スウェーデンのとった政策やコロナ対策を多くの国民が受け入れているという現実があるのです。

それに反発する者も極めて少ないのです。

普段から、自主性を尊重されている国民なので、このような非常事態でもその自主性を尊重されているのです。

これは多くの国民がスウェーデンの医療体制や、職場での対応(休みの取得状況など)などに対して、同じような意識を持っているからにほかなりません。

自主性が尊重されるからといっても、国民が自分勝手にバラバラな行動に出ているわけではないのです。
これは集団生活を重んじる日本でも共通するところもありますが、スウェーデンは日本と比べて圧倒的に人口が少ないです。

スウェーデンだからできた対策といえると思います。